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Producing Countries News Letter ~Africa~
THE COFFEE TIMES
Economics
Coffee
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PERU
Vol.
03
2019
SAN PEDRO
About Peru
・人口:3,216万人(2017:世銀)
・首都:リマ
・言語:スペイン語
・主要産業:製造業,石油・鉱業, 商業,農業,建設業 ・名目GDP:2,113億ドル(2017:世銀)
・経済成長率:2.5% (2017:世銀)
・失業率:6.9%(2017:ペルー情報統 計庁)
Coffee in Peru
・生産量(2018/19):430万袋(60kg 袋)estimate
・生産国ランキング(2018):第10位 南米ペルーは、インカ帝国、ナスカ の地上絵、マチュピチュといった歴 史的な一面を思い浮かべる人、また はアンデス山脈、チチカカ湖などの 自然と融和した一面をイメージする 人などさまざまかとは思いますが、そ の他『美食の国』、『資源大国』、『安 定した経済成長や財政運営』に定評 があります。一方で『貧富の差』、『女 性差別』などの 社会問題が根強く残っている面も忘 れてはいけません。
まず、ペルーのコーヒーに関する情 報としては、コーヒー生産量ランキン グは世界第10位(430万袋≒2億 5,800万kg, 2018/2019年 estimate)を誇り、南米ではブラジル、 コロンビアに次ぐ第三の生産国です。 しかし、ペルーの総輸出額(442.3億 USD/2017年)に対してコーヒーの輸 出額は7.1億USDとわずか1.6%と非 常に少ない状況です。 もともと鉱物資源が豊富なペルーは、 輸出額のうち銅が31.3%、続いて金 が16.1%を占めています。2017年は こういった伝統産品の資源価格が前 年比で大きく上昇したことにより、輸 出額も伸長しました。
ちなみに、ペルーのコーヒー は、生産量でいえば世界第10 位ではあるものの、日本の消 費者の中ではまだまだ珍しい 生産国の内の一つといえます。 その理由としては、南米には 世界最大の生産国ブラジル、 そして第二位のコロンビアが あるため、どうしても影をひそ めてしまいます。また、輸出先 としては、ヨーロッパ圏が全体 の輸出額の60%近くを占め、 日本に至ってはわずか1%弱、 金額にして900万USDにとど まっています。
コーヒー産業に従事している 人口は約15万人~20万人(全 人口3,123万人(2017年)の約 0.5%)とやや少なめですが、 アンデス山脈の麓には、優し い甘さを持ったマイルドボディ の高品質なコーヒーが生産さ れる環境が広がっており、また 輸出入業者の積極的な働き かけもあり、ペルーはオーガ ニックコーヒーへの取り組みを 積極的に行っています。
そんなペルーのコーヒー栽培 の歴史は、1700年代から始ま ります。ティピカ原種の栽培か ら始まり、基本的にはそれぞ れの保有地(2-3ヘクタール) で栽培している小規模農家が 大半です。 現在でも全体の70%はティピ カ種が栽培されており、残り 20%がカツーラ種、10%その 他といった分布です。 加えておおよそ75%は海抜 1,000m ~ 1,800mの間で栽 培され、シェイドツリーの下で 育てられ、1haで約2,000本 のコーヒーの木を栽培してい ます。
厳しい環境下でコーヒーの栽 培をしている小規模農家です が、信用リスクが高いとみなさ れ、金融機関からは登記され ていない土地は担保としても 扱ってもらえず、資金調達面 では難しさがあります。 そこで、コーヒーの集買業者 などが貸付をすることもありま すが、その結果、固定価格で の買取や高い利息の支払い をしなければいけないというこ とにもつながり、ジレンマがあ ります。
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過去生産者たちは、自分たちの作物がどのよ うな飲み物になるのかを知らずに、ただパーチ メントコーヒーを重量によって販売していました。
しかしながら、ここ十数年でペルーでは小規模 農家の協同組合が組織され、今までの搾取的 な取引慣行に対する説明を行うなど、前向き に取り組む場を提供しています。
そして協同組合では、収穫後のチェリーの取 扱を改善したり、より効果的なマーケティング 戦略を実践したり、結果としてより良い賃金を 得るために努力しています。大きな組織では、 2,000以上もの生産者が所属しています。また、 より整った組織では、生産者へ貸付を行えるよ うな機構を有し、品質向上、歩留まりの改善を 目指しています。
現在、10万以上の小規模農家の内、およそ 15-20%が組合に属しており、これらの組合は 農家の成長を促すため、フェアトレードやオー ガニック取引のネットワークに属しています。こ の様なビジネスパートナーシップを築いてきた 結果、ペルーは瞬く間にフェアトレード認証の コーヒー供給国として世界第2位となりました。 現在、ペルー国内では9,000haものオーガ ニックな土壌が作られています。
尚、よく手入れをされた土壌では、1haあたり 2,500kg(42bags/60kg)が生産されます。平 均すると、17/18cropでは683kg/ha、 18/19cropでは716kg/haの生産と予測されて います。
ここで、土壌の管理について触れてみます。ペ ルーでは、古くなったコーヒーの木や収穫量が 減ってきた木、病気の木を植え替えるとなると、 $3,000/haもの費用がかかります。ただ、この 作業は一般的には20-30年に一度のようです が、それとは別で毎年木々のメンテナンスなど にも$1,200/haがかかっています。そのような メンテナンス費用や労働者への賃金などで、 平均コストとして$1.75/kgがかかっており、労 働者への支払いが約49%を占めています。
ここまで見てきたように、ペルーのコーヒー産業 としては、小規模農家が多く、情報の欠如を一 因として集買業者によって安い価格でコーヒー を販売してきた状況から、徐々に組織化が進 み、情報へのアクセスがスムーズとなり、現在 は認証コーヒーの主要生産国として認識され るまでに成長しています。
続いて、ペルーの経済状況や国の情勢につ いてご紹介していきます。
まず数値データを見ていきます。ペルーの名 目GDPは2017年で2,113億ドルであり、一人 当たりGNIに関しては5,960USDです。
ペルー経済に関しては、1990年代に導入さ れた自由主義的マクロ経済路線が広く定着 し、近年でも2006年~2015年の平均経済 成長率は年率5.9%を保ち、中南米でも有 数の経済国家となっています。 経済構造は伝統的に金や銅などの鉱物資 源の輸出によるところが大きいものの、一次 産品の生産増、輸出強化など、多角的な経 済構造へのシフトを進めています。
また、ペルーはTPPに代表される多国間経 済協定やFTA、EPAなどの二国間経済協定 にも積極的に取組み、貿易の90%以上は二 国間協定の締結国との取引になっています。
このような比較的安定した経済、社会構造の ペルーにおいて、一番大きな課題の一つが 貧富の差です。全体の貧困率などは年々減 少してきており(2004年58.7% → 2017年 21.7%)、今のところは安定した経済成長に 守られた運営がなされていはいますが、地方 都市への教育インフラなどのサポートが必要 となっています。
そこで、ペルーでの社会起業家を調べてみ ると、スタートアップへの中間支援や教育事 業、ヘルスケア事業などが多く、また対象と なっている地域は貧困地域での取組みが多 くなっています。
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≪NESsT≫ social investment
社会起業家への投資、サポートを通して貧困削 減に取組むNPO。過去20年間での実績は15.2百 万USD、187もの起業家へのサポートを行ってい る。活動エリア中欧、東欧及び中南米。現在ペ ルーでは、農業、水資源、環境保全、女性の雇用 促進、加工業など、幅広い分野の起業家への投 資をおおなっている。
≪HELP PERU≫ support organization
2013年に設立されたHELP PERUは、ペルーの 恵まれない人々をサポートする活動への投資やド ネーション、そしてソフト面での支援を積極的に 行っています。特に教育、ヘルスケア、コミュニ ティ形成などに注力しています。
≪Sembrando Juntos≫ education
0歳から5歳までの幼児教育を提供する団体。前 身となる教育センターは1985年に2人の英語ボラ ンティアがペルーを訪れ、小さな家での教育サー ビスWestnell Nurseryを始めたことにさかのぼり ます。現在ではWestnell Nurseryに加え、2つの センターをそれぞれ別の地域(貧困地域)に開設 し、教育サービス及び初等教育を継続できるよう な経済的支援、啓発を行っています。
≪Peru Champs≫ education
貧困地域に暮らす人々の中には、経済的理由に より就学が困難な児童がいます。そういった中でも、 芸術、スポーツ、またリーダーシップにおいて優れ た児童に対して、経済的サポートとともに、ワール ドクラスの教育施設での就学を可能とさせる児童 個人に対するオンライン支援プラットフォームを 運営。2009年の設立からすでに46,000人の児 童への就学機会を提供している。
≪Kunan≫ social impact support platform
ペルーにおける社会起業家の支援プラットフォー ム。各分野での起業家の活動に対して、相乗効 果を生み出すようなネットワーク創出や広告として KUNAN TVでの紹介などのサポートを行っていま す。また、サポートしている社会起業家は環境、農 業、ファッションなど、多岐にわたります。Kunan の基礎は、1994年に設立されたPERU2021という NPOにあります。PERU2021は独立200年にあた る2021年に共通の国家ビジョンを明確にするミッ ションからスタートし、のちに中小企業への持続可 能な開発に向けた提言などビジネスモデルの確 立をサポートしています。また、ダイナミックな活動 に不可欠な国際的な組織との戦略的な連携も多 岐にわたって行われています。
新興国ペルーでは、非常に多くの社会起業家 が活躍し、またそれらのビジネスを支えるプ ラットフォームが多く見受けられました。
貿易、経済の面で国外に対してオープンな側 面を持ち、また国内に対しても起業家精神が 根付く環境作りに早くから取り組んでいたことが 今の安定した国づくりに貢献しているのかも知 れません。
続いては、現在店舗で取扱っているコーヒー豆 についてご紹介していきたいと思います。 その前に、ペルーにある生産者組合の一つ CENFROCAFEについて少しご紹介したいと思 います。
CENFROCAFE
1999年に結成されたCENFROCAFEは、Jaén、 San Ignacio、およびBaguaの各地域11のネット ワークの84拠点に、3,000以上の家族が所属す る協同組合です。 他の協同組合同様に、医療サービスの提供、住 居の提供など、所属組合員に対するケアを行っ ています。 また、金融サービスや組合としてのマーケティン グも担っています。 そして、組合としてフェアトレード、オーガニック、 レインフォレストアライアンスウなどの認証を取 得しており、それぞれ専門的なマーケットへの参 入も可能にしています。
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SAN PEDRO
本来、ペルーは優れたコーヒーの生産にとても適 した環境が整っています。例えば、標高や品種、 肥沃な大地などです。
しかしながら、山岳地帯での収穫後、山裾の水 洗工場まで持っていく必要があるなど、品質を維 持するのには困難な状況にも置かれています。 その移動の間でコーヒーチェリーは大きなダメー ジを受け、品質劣化にもつながり、安定した品質 の供給が難しい環境でもあります。
このような環境の下、数年前まで道路も舗装され ておらず、馬やバイクが山裾の町との唯一の交 通手段だった小さな村から素晴らしいコーヒーが 生み出されました。
フレディ・ベルメオのいる、タバコネスのサンペド ロ・デ・チュルヤク地区は、非常にユニークなカッ ププロファイルで、北ペルーで最も成長している 地域の一つとして長い間考えられてきました。
彼は父親から最初の5ヘクタールの土地を継承 し、以来近隣の土地所有者からさらに7ヘクター ルを取得しています。彼は約15年間コーヒーを栽 培してきましたが、2011年以降、生産と品質の向 上に専念しています。
WOMEN'S HAND
フレディは自身の水洗工場ですべての精製工程 を行い、ゆっくりと均一に乾燥させ、コーヒーの品 質を保っています。 その結果、彼は2017年に初めて開かれたペルー のCup of Excellenceでカツーラのマイクロロット で見事3位を獲得しました。
(商品情報)
●地域: サンイグナシオ/タバコネス地区/ サンペドロ村
●生産者:フレディ・ベルメオ
●標高:1,800m
●精製方法:ウォッシュド
●品種:ブルボン
●香り:ネクタリン、アップル、ミルクチョコレート
●味わい:アップルのようなみずみずしい酸とネク タリンに似たしっとりとした質感。
●認証:有機JAS認証、RA認証
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