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Re:co Symposium #5 "The Coffee Conservation Strategy" by Sarada Krishnan

持続可能なコーヒー生産、コーヒー産業の発展などの議論をここ数年頻繁に目にします。それは環境問題の及ぼすコーヒー栽培への影響や、インターネットの発達によるコーヒーに関する商取引の多様化、消費者の消費行動の変化など、非常に多岐にわたるトピックが関わっています。

その中で、本日は将来に向けたコーヒー保全戦略についてご紹介したいと思います。

本日のプレゼンテーターは、Director of Horticulture and Center for Global Initiatives at Denver Botanic GardensのSarada博士です。

今回のテーマはThe Coffee Conservation Strategyです。

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コーヒーにおける遺伝子多様性保護の重要性について

世界には125種類のコーヒーの木があり、主にアフリカ、マレーシア、コモド、レユニオン、東南アジア、オーストリアに生息しています。マダガスカルには59種のコーヒーの木があり、マダガスカル西部の乾燥した砂漠地域から、東部の熱帯雨林までを占めています。コーヒーの木は異なる環境の条件に適応していくことで、様々な環境で育つことができます。

2016年にCROP TRUST とWorld Coffee Researchは共同で世界的なコーヒー保全戦略を立ち上げました。そして、戦略の目的は、将来の持続可能性とそれに依存する生計のためのロードマップを提供することです。まず保全戦略を考えるにあたり、我々に必要なのは、遺伝子リソースの保全がいかに大変かということを知ることです。

コーヒーの栽培は大きく2つに分かれています。

1つは人間の手によって栽培されたもの(cultivated-coffee)と、もう1つは自然にできたもの(wild-coffee)です。

遺伝子多様性の点から見ると、前者は栽培方法や起源が世界中で異なるために、多様性が低くなる傾向があります。 一方、後者は厳しい環境に適応することができるため、栽培されたコーヒーに比べると多くの種類の遺伝子があるとされています。野生の環境の中でコーヒーを栽培し、コーヒーの遺伝子を管理することが大切です。

つまり、保全戦略の1つとしては、遺伝子バンクで管理されている土地(フィールドジーンバンク)を調査し、そこで植えられている品種を守ることがあるといえます。

ただ、フィールドジーンバンクで栽培されている木々はすでに樹齢40-50歳のものが多く、樹齢の高さはコーヒーフラワーの開花量、生産量にも影響してきます。また、病気への抵抗力も衰え栽培するにあたって、遺伝子はGene bankと呼ばれる場所で管理されるのが一般的ですが、コーヒーにおいては、種自体を長期間管理するのが難しいため、農場ごとに管理しています。しかし農場ごとに管理を行うと様々な問題が発生します。

まずはその土地の環境問題があります。これは人為的なもの(森林伐採や鉱山活動)、自然災害や健康的なコーヒーには低すぎると見なされる高度にあることです。 その他、その国の政府の財政難により修繕費が賄えなかったり、農場スタッフの教育不足にも影響していきます。

コーヒーのフィールドジーンバンクは様々な問題に直面しながら、運営されています。そして、フィールドジーンバンクはキュレーター個人の情熱や意思によって機能していることが多くあります。

例えば、Dr. Jean-Jacquesは1982~2002年の間、マダガスカル政府がフィールドジーンバンクへの支援をストップし、手付かずになっていた期間、コーヒーの木は枯れはてていましたが、Jean-Jaquesは最低限のケアは継続しながら、保全活動を続けていました。

なぜこんなにもコーヒーの木の遺伝子が大切なのでしょうか?

例えばもし1種のコーヒーの木が失われるとします。各コーヒーの木には様々な病気に対する耐性を持っています。それが失われると新たな耐性を発見できる可能性が失われてしまいます。また遺伝子の多様性を理解することは、コーヒーの品種改良や開発において極めて重要です。コロンビアとブラジルはこれを大きく活用しており、2種を掛け合わせたコーヒーの開発に成功しています。

ここに、あまり知られていないゲイシャ種に関する事例をご紹介しましょう。これは遺伝子データとフィールドジーンバンクの保全に関する話ともいえます。

1930年代、イギリスのリチャード大使はエチオピアへ探検し、多くのコーヒー豆を発見しました。そしてそれらをケニアやタンザニアに送りました。その中の1つにゲイシャコーヒーがありました。

その後、1950年代に、国連食糧機構がタンザニアでBC496種として知られているゲイシャ種を起源とした品種の趣旨をコスタリカへ送りました。 1960年代、パナマ政府がマダガスカルのCATIE Gene bankから3,4種の苗木を持ち帰り、そのうちの1つがゲイシャ種でした。その持帰られたゲイシャ種を幸いにも受け取った内の1つがエスメラルダ農園でした。しかしながら、ゲイシャコーヒーの素晴らしさを発見するのに、多くの時間がかかりました。なぜならその種を植え替え、保護し、観察できるような環境が必要だったからです。

また、マダガスカルからタンザニアへ植え替えた苗木の中には、もともとカフェインの含まれていない品種もあります。その他、いかなる天候にも自然と適応していく品種やマダガスカル特有の環境の保護も重要ですがさらにその採取した遺伝子データを適切に管理、観察、共有することも重要です。

最後に、将来へコーヒーの木を保護していくために立てられた6つの新たな戦略をご紹介します。

1長期保存できる安定した資金調達 2施設やキャパシティの発展 3どのように利用者が植物を利用できるか等の情報共有 4誰が何を採取したかの共有ができるデータベースの設立 5採取したものをコピーしておくなどのバックアップの強化 6森林の野生環境で育つコーヒーの保護

コーヒーの遺伝子保護、共有がなければコーヒーの木が失われてゆき、コーヒー産業は低迷してしまいます。この戦略を全世界で発展させていくことが今求められています。

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種の保全に向けての戦略がハイレベルなところで設定され、研究が進んでいるようですが、我々ロースターとして何ができるのか。最終的な味覚評価がどう変わるのか、もう少し調べてみたと思う内容です。

ひとつ言えるのは、やはりコーヒーも農作物として環境問題の影響を受けてしまうということ。それが生産者の人々への生活にもダイレクトに影響してしまうということ。今の時点でできることは、まずは美味しいと思っていただけるコーヒーと共に、コーヒーに関する情報発信を継続しながら、健全な商取引の規模を増やしていくということでしょうか。意義ある品種、大切な農園、コーヒーを選ぶ基準は色々とあります。

次回は少し異なる観点から、持続可能なコーヒー産業の発展というものについて、シェアしていきたいと思います。

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